タクシーに小銭で乗る客
うちの近所は、田舎なので乗り合いタクシーだ。
「なるほどね」
今日は、自分の車を修理にだしているのでタクシーで帰宅。サングラスをかけ、黒光りするくらい日焼けしたブラックの兄さんがドライバー。
私と同乗していたのは、20代の東欧系の女性だった。
「そこのところを左に曲がって、あ、そうそうマディソンアベニューね」駅に近いので、
先に降りる女性が言った。
田舎にもマディソンという道があるらしい。
「おいくら?」と彼女が聞くと、ドライバーは「9ドル」とぶっきらぼうに答えた。
すると女性は「エクスキューズミー」と言いながら、コインをガチガチいわせながら
数え始めた。
え?チップをコインで出すのかな?と思っていたら、9ドルちょうどをコインで渡したのだった。ドライバーはコインを数えることもなく、「まいどあり」ともらっていた。
彼女が降りたとたん、「信じられないよ、パークアベニューって言ってたのに、いきなりマディソンって言い出すんだから。最初から、ちゃんと通りの名くらい正しく言ってくれればいいのに。たまにちゃんと住所を言えない客がいるんだ。(私の推測だが、不法滞在者であるため、住まいを知らせたくないのだろう)
「私も、家の前のストリート名はわかりにくいから大通りの名前を言ってるけど」
「それならわかるよ。どおりにかなってるもの。大通りに続いて、自分の通りがあるわけだろ?彼女のストリートは平行に走ってるのにさ。変だよな。住所を知らせたくないだろうけど」
「ところで運賃をすべてコインで払う客って初めてみた」と私が驚いてみせると。
「きっと貧乏なんだよ。まー本当に9ドルあるかどうかわからないけど。そんなことはどうでもいい。家で寝てるよりキャブを運転してるほうが、母ちゃんに叱られないから。こうして暇つぶしに働いてるみたいなものさ」
「おっと、ちょっと待ってくれ噂をしてると母ちゃんから電話だ」数分間、妻と電話で話をしていた。
「で本業は、なんの仕事をやってるの?」
「大学を終えて、スクールローンの追われてるんだけどさ。近いうちに自営業をやるつもりなんだ」
「どこの大学?」
「ジョンJ」
「ジョンJ?私の友達がそこで教えてるよ。ってか、ジョンJで思い出したけど、前にも会ったことあるよね」
「あぁ~そういえば。前にも話したね。このあたりまで確かに送ってきたことある」
「で、どんなビジネスを考えてるの?」
「養鶏さ。僕の母国(なんとなくだけど国名はふせておきます)でチキンを育てて、大量に輸入するつもりなんだ」
「いいねぇ。私も前に食べれる生卵を作るために、チキンを育てたいって思ってたんだけど。輸入するなら卵のほうがよくない?」
「どうして?」
「今、アメリカの卵ってサルモネラ菌がついてるの多くて、生で食べられないから、地元で生産された生で食べられるオーガニックの卵をたくさん売り出せば、売れるって思うんだよね」
「なるほどね」
「あなたの母国ならば、そんなに遠くないし、空輸も可能だからビジネスチャンスあるんじゃない?人件費も安そうだし」
「そうだな。まずはリサーチしてみなくちゃ」
そんな話をしているうち、家へついていた。
「いくらくらいいつもタクシー代払ってるの?」ドライバーがきいた。前にもそう聞かれて、言い値で払ったっけ。
「14ドルくらいだったと思うけど。15ドル渡すよ。ビジネスうまくいくといいね。ビジネス始める時には教えてね。私も手伝えることがあれば、なにかできるかもしれないから」
「OK。なにか始めるってなったらね」
本当にビジネスを始めるのかどうかなんて、わからないけど。こういう風にビジネスを始めるって言ってる人と話をするのってなんだか楽しいものだ。
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NYでフリーランスのライターを続けながら、NYで活躍するアーティストを応援するNY1page.comを運営。弘恵ベイリーのプロフィール執筆依頼aluchu@aol.comへ
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