秘密のもてないお年頃

ヘルメットを買ってあげようと
試着していると、アクシデントで
デニスの目元に少しばかり、かすり傷をつくってしまった。

ほんのちょっと針の先くらいに傷がついただけなのに、
大げさな夫レイからの遺伝か、

キャッシャーの見ず知らずのインド人のオヤジにまで
「マミー・ハーツ・マイ・アイ」などと報告しやがった。

レイにバレたらうるさいから、嘘を考えるが
もはや嘘をついても、デニスがばらすであろう年齢に
達している。

ちなみに、私はデニスがまだ17ヶ月ごろ、
ストローラーのブレーキを
かけ忘れて歩道を転がり、ちょっとばかり転倒

させたことがあって。
顔にかすり傷ができたのを、
よちよち歩きのデニスが、公園の歩道にて転んだ

ことにして嘘をついたケースがある。

今回は、デニスが言わなければわからないレベルの
小さな斑点。

「デニス、なんか飲みたいよマミー」と自宅にて
デニス。

「じゃーさぁ、マミーが美味しいクランベリージュースを
あげるから、この怪我のことはダッドには言わないで
おいてくれる？」

「OK」快い承諾。

レイが帰ってきた。
デニスを抱えあげるが、やはり傷には気づいていない。

私がキッチンで料理をしている間に、
デニスは、レイについてベッドルームへ。

「ダッド、ルック・アット・マイ・アイ」
デニスの元気な声。

ちくっとるやんけ～～～！

「ヒロエ、デニスの目がどうしたんだ？」

結局、真実を告げることとなったのだった。

買収されない子だから、何か妙な大人から
妙なことを言われても、告げてくれるという安心は
したものの。

もはや秘密はもてない年頃になってきた。

そろそろ「大人の飲み物」と称したり、
「ブドウ酒」などと日本語で語っているドリンクも
隠れて飲んでると、レイにばらされるな。

奥の手を考えねば。

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